今は昔、学九流にわたり芸百家に通じ、世に重くせられた紀長谷雄という公卿が、ある日の夕さる忽然と現われた一人の男と、朱雀門の楼上で双六の勝負を挑まれたのでござゐます。
勝った長谷雄が手にした女というのは死人の良い所どり≠して作られた人造人間だったというではありませんか。しかも、親しく覚えて女犯に及んだところ、女はたちまちにして水となって溶け失せたのでござゐます。かつてこのような物語がござゐましたでしょうか。
王朝時代を舞台に繰り広げられた、奇にして怪なこの物語を、これでもかこれでもか、と追求し、解明しようと試みたのが本著でござゐます。あなたはきっと本著の虜になること間違いござゐません。 (著 者)
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