オーツくん by 木村マルミ
今回の市民
たかまつ くにこ
高松久仁子さん
(ラッテたかまつ)
 葛城・金剛山麓を南北に走っていることから「山麓線」の通称で知られる県道30号線。

 一説によるとグルメロードと呼ばれているとか。ところどころに農産物の直売所や食品店の看板が目につきます。

 中でも際立っているのが「ラッテ・たかまつ」と書かれた牛の看板です。冷たい雨がそぼ降る春の一日、葛城山の中腹にある牧場へ高松久仁子さんを訪ねました。
 久仁子さんが生まれ育った地で酪農を始めたのは、今から40年前にさかのぼります。

 旅行先の北海道で酪農を知り、短大を卒業後、奈良県畜産試験場に通って人工授精師の免許を取りました。

 当時の葛城の酪農家は31軒ほど、久仁子さんと同年配の若者たちが「農業青年4Hクラブ」という後継者の組織を立ち上げ、次世代を担うものとしての活動を盛り上げていたころでした。
 周りの人たちに支えられ、32番目の酪農家が誕生しました。
 生き物をあつかう仕事は大変で、牛の病気や繁殖の苦労などを繰り返しながら久仁子さんは切磋琢磨していきました。

 6年後には昌弘さんと結婚し二人の子どもにも恵まれます。

 ところが、乳価の上昇が続き手ごたえを感じていたころ、昭和58年から牛乳の生産調整が始まりました。
 乳価は下がり餌の高騰などの理由で、後継者のいない酪農家は次々と廃業していきました。32軒だった酪農家は現在12軒までに減ってしまいました。

  「法律に沿った経営ということで機械を導入したり、ランニングコストが想像以上に高くつきます。燃料費、飼料代も上がる一方ですし、ぎりぎりやっているのが現状です」

 でも久仁子さんはへこたれませんでした。奈良県の女性海外派遣事業に応募し、海外研修先で運命の加工乳製品と出会います。
 販売所の営業許可を取ると、牛舎を新築、加工所を建設します。

 平成9年、久仁子さんはケフィアヨーグルトの製造を始めました。お母さんのバイタリティーに刺激されて、長女の美保さんもアイスクリームづくりに名乗りをあげます。

 無添加にこだわった、あっさりした甘味が魅力のアイスはお客さんの心をがっちり掴み、順調に委託販売店も増えていきました。
 平成13年には念願だったチーズづくりを始めます。海外研修でカマンベールチーズに出会ったときからの夢でした。しかし、現在の設備上の理由からフレッシュモツァレラチーズに取り組むことに。

  「これが利益率が悪くて。そこで思いついたのが、このチーズを使ってピザなどを看板メニューにしたレストラン経営ですわ」

 同年、ショップスペースを広げてテラスを増設、現在のレストラン「夢ラッテ」をオープン。
 これが、10年来のファンや、山麓線を走行中に看板を見つけ訪れた観光客、口コミでやってきた遠方のお客さんなど、今さまざまな人たちに愛されている「山の喫茶店」の誕生でした。

 平成14年に家族経営協定を結び法人化。

 現在は夫の昌弘さんと長男の生人さんが乳牛の飼育を担当し、久仁子さんと美保さん、お嫁さんの元美さんが乳製品の加工および喫茶店経営の中心となっています。
 ひとことで言って「努力のひと」。小柄な体のどこにそんなバイタリティーとアイデアがあるのかと思わせる久仁子さん。

 乳しぼりや牧場体験などを取り入れた活動が認められ「酪農教育ファーム認証農家」にも認定されました。毎年県内の中・高生の職業体験を受け入れています。

 また、年間を通じて季節に応じたさまざまな体験教室やイベントを行っています。一方、環境対応に重きをおいて、エコ体験教室やごみゼロ運動へも積極的に関わっています。
 「お客さんは口をそろえて『ええところやなあ』と言います。山から見下ろす葛城や大和平野の風景にこころ癒されはるんですね。

 ええ景色を見て、おいしい空気を吸って、私らのつくったチーズやアイスに満足して帰ってもらう、それが何より嬉しいですねん」と、久仁子さん。

 ふるさと葛城の良さを、酪農という観点から見直し発信していくことで次世代への財産を残したい、と久仁子さんは思っているのです。
■ 農業組合法人ラッテ・たかまつ

・ 営業時間10〜17時 毎週火・水曜定休(臨時休業あり)
・ 4〜8月無休、9〜11月火曜定休、12〜3月は16時まで
・ ホームページ: http://www.latte-takamatsu.com/
・ 電話: 0745-62-3953


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