今回の市民
林 良男さん (疋田)
早朝に作業を行う林さん。
続けた甲斐あって、これでも川はきれいになってきている。

川の掃除を一人で数年間

 葛城市太田に発し、大和高田市大中(おおなか)で高田川に合流する太田川。
 「太田川の掃除を、何年間も一人で、黙々と続ける男性がいる」。
 近所で、そんな話を耳にしました。

 その人の名は、疋田(ひきだ)在住の林良男さん(77歳)。
 会社を定年まで勤め上げ、第二の人生では世間に恩返ししたいと、2006年4月から、疋田区内の太田川の清掃作業を、無償で行っています。

週2回のボランティア

 疋田地区のゴミ収集日は、毎週月曜日と木曜日。
 林さんは、その日に合わせて、早朝に川掃除を行います。

 収集日当日に時間を取るのが難しいときは、前日の夕方に作業をします。
 週2回の川掃除を欠かしたことは、これまでほとんどありません。

始めたきっかけは「怒り」

 林さんが、川掃除を始めたきっかけは、「怒り」。

 一市民として何か社会の役に立ちたいと、まずは道ばたの犬の糞(ふん)取りを行いました。
 そのうちに、大きなゴミが、近所を流れる川をせき止めていることに気づきました。
 実にいろいろなものが捨てられていました。
 座椅子、自転車、自動車のホイール……。

 林さんは、物を粗末にして平気で捨てる「ポイ捨ての感覚」に対する怒りを、行動に移したのです。

 清掃活動を始めた当初、近所の人たちから、こう言われたそうです。
 「なんぼ、金もろてんの?」
 「ただで、ようそんなアホなことするな〜」
ゴム手袋と長靴は必需品。
自宅で話す林さん。

昔は川で野菜を洗った

 林さんの活動のおかげで、大型のゴミが捨てられることは、ほとんどなくなりました。
 今でも、傘は頻繁に捨てられているそうです。

 当初は、林さんが拾って道に上げておいたゴミを蹴り落とした人もいました。
 糠床(ぬかどこ)を袋に入れて捨てる人もいて、持ち上げるのに難儀したそうです。

 林さんは、そんな行いにも理解を示します。
 「(林さんが)疋田に引っ越してきた40年ぐらい前は、川で野菜を洗っていた。家庭の生ゴミを川に捨てるのも、当たり前のことだった」。

 幸いなことに、近所の人の意識も、徐々に変わってきました。

自然をきれいにしたい
気持ちを形に

 疋田地区を流れる太田川について、林さんが気になるのは、川底にコンクリートが張られていることです。

 砂は水を吸いますが、コンクリートは水を吸いません。

 山麓や流域の開発により、保水力が減退して、気象や環境の変化により、洪水が起こりやすくなってきています。

 水質浄化の点からも、問題があります。
 川は元来、自浄能力を持っているのです。

 「自然のままにしておくほうが良いことが多いのではないか。自然の摂理に逆らったら、その報いは大きい」と林さん。
 「自然を破壊する愚かさは、お金では換算できない」と力説します。

 林さんが賞賛し、目標にしているのが、長尾地区の「木戸池公園」の管理。
 住民が自主的に協力し合って公園をきれいにし、色とりどりの花が季節ごとに咲き乱れています。
業務用らしきゴミも投棄されている。
わずか1回の作業で、これだけのゴミが引き上げられる(これでも一部)。
 たとえば、1年に何回か、県下一斉の川掃除の日があっても良い。
 自然をきれいにしたいという気持ちを形にできるように、今後、啓発活動もしていければと思っています」。
■林良男さん

・ 問い合わせ(自宅): 0745−69−5409


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